2013年10月10日

10・5信毎社説のどこが問題か

信濃毎日新聞10月5日社説の問題点

この件について、ろぜっと山口さんのブログに的確な指摘がありました。
URLを張り付けてありますから、何時でも読めるわけですが、
ここでもう一度、当ブログとして整理しておきたいと思います。

正確を期するため、信濃毎日新聞の10月5日社説の問題個所を引用します。
長野県でも10年ほど前、耳の不自由な人たちの権利保障に向けた運動が起きた。手話と併せて必要な通訳に、話し手の言葉を速記してスクリーンなどに映写する「要約筆記」がある。これを選挙運動で行うと公職選挙法に違反することが分かり、県内20の議会が、法改正を求める意見書を国に送った。結果的に法改正には結び付かず、このころ各地の議場で盛んに見られた手話・要約筆記通訳も、今では少なくなっている。

ろぜっと山口さんのご指摘(ブログより引用)
(・・・前略)こういうデタラメな記事を書かれると、要約筆記者として、非常に困る。
1.要約筆記は速記しているのではない。
2.「映写」という表現も、映像のようなイメージを与え、誤解のもと。
3.手話と合わせなくても、それ単体で必要としている人はかなりの数に上るということ。
(中略)
手話言語条例を取り上げただけでも“拍手”ですけど…取材不足のデタラメは許せませんねicon08
各地の議場で盛んに見られた手話・要約筆記通訳も、今では少なくなっている。
という表現もあるが…手話や要約筆記が少なくなってきたのではない!
議会が退屈でつまらないものになっているため、聴覚障害者の議会傍聴が減少しているのだ!!
関連の議題があれば、聴覚障害者も傍聴に行くだろう。
そうなれば、通訳も当然つく。
問題なのは、聴覚障害者が興味を持てないような議会が問題なのだ!
「少なくなって」いない。登録者数は明らかに増えている。
そういうところの取材も不足している。
話題性のあるところに食いつくのは良いが、
その話を展開させていくための取材・調査はもっとしっかり行ってもらいたい。
いい加減なレベルの話を書かれると、要約筆記の利用者減少にもつながりかねない。
だいたいもとから少ないのに…減っていることの、速記だことの、
映像みたいに流れていくことの…と
違ったイメージを植え付けられたら…たまらんicon08
(後略)

ろぜっと山口さんのご指摘のとおりなのですが、
当ブログとして、補足と言うか蛇足かもしれませんが、一言述べておきたい。
1.「速記」ねえ! 懐かしい用語です。非常に特殊な「速記記号」を使った「速記術」。
  現今では、なぜか国会の両院で(のみ)用いられています。
  ちなみに私は学生の頃「早稲田式速記術」に興味を持ったことがあります。
2.「映写」ねえ! これも子供の頃、「幻灯」とか「映写機」って、あったなあ。
3.「手話と併せて必要な通訳」ねえ! 手話と併せて文字を読む?!
  そんな器用な人が居るんでしょうか。
極めつけは最後の文章。
「これを選挙運動で行うと公職選挙法に違反することが分かり・・・結果的に法改正には結び付かず」(A)
という文章のあとに、突如として
「このころ各地の議場で盛んに見られた手話・要約筆記通訳も、今では少なくなっている」(B)
と続けている。
(A)と(B)とは、全く次元の異なる話で、公職選挙法の「文書・図画」の話と、
各地の議場での傍聴とが、ごっちゃになっています。
(A)だから(B)という結論付けには必然性がなく、
記者の勝手な妄想
に過ぎない。
「記者の」と書きましたが、これは記者の署名記事ではなくて「社説」ですぞ。
編集会議を通して文章が練られるはずの、社の英知・知性を代表するはずの「社説」とは到底思えない。
(六万石)


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Posted by 六万石 at 22:48│Comments(0)学習記事
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